第一回を読んでいただいた方なら、その他の選択肢が、入れ歯とブリッジだということは、わかっていただけると思います。今日は、3つの治療法のうち、どれを選べば良いの?という判断材料となろう、それぞれのメリットデメリットについて、お話しいたします。
まず、歯がなくなったら、一番気になるのは噛めないってことかと思います。
噛む事について、絞ってお話します。
結論から言うと、インプラントが3つのうちでは最も噛む事にはリスクがないと考えられます。状況や患者様の口の中の環境にかなり影響を受けますから、あくまで一般論と私の主観的なお話です。疑問などありましたら、どうぞお気軽にご質問ください。
入れ歯は、針金のようなクラスプと呼ばれるもので、歯と連結しますが、患者さん自身で簡単に取り外せるような弱い連結です。歯にはあまり支えを求められないので、ほとんどが歯茎で力を負担します。当然、歯茎で噛むようなものですから、歯で噛むよりは随分弱い力しか受けれません。諸説ありますが、入れ歯は、歯に比べて30%くらいしか噛めないという学説もあります。3つの中では最も噛みにくいかなと私も考えています。
ブリッジは、歯と歯を被せ物でつなぐ方法です。歯は削る事になりますが、被せ物で直接繋ぐので、入れ歯と違い患者様が取り外すこともなく、歯で噛んでいるような感覚は保持できます。ただ、ブリッジは削ることもデメリットですが、抜いた歯の負担をブリッジの手前と奥の歯で負担しなければならないため、力が残った歯に多くかかります。当然、今までよりも大きく力がかかるので、痛みの原因や、ぐらつき、または折れたり欠けたりしてしまう可能性が出てきます。入れ歯よりかは噛みやすいと思いますが、抜いた歯の両隣に過大な力がかかってしまいます。
インプラントは、抜いた歯の場所に、チタン製の人口の根をいれる方法で、周りの歯や歯茎に一切触らないので、新しく歯が一本生まれるような感じかと思います。歯茎で噛むこともないし、両隣が負担が多くなることもありません。インプラントを構成するチタンの物性は、強度的にはそうやすやすと折れるようなものではないため、何十年と噛み続けても、折れるケースはほとんどないといっても良いでしょう。力のことだけで言えば、インプラントは歯の代わりとしては、3つのうちで一番良い方法かと思います。
唯一、インプラントは直接顎の骨と連結するので、歯と違い、歯根膜という歯に備わっているクッションみたいなものがありません。歯は多少浮き沈みをしてくれます。が、インプラントはしません。噛み合わせや、歯ぎしり、食いしばりなど、過大な力がかかる場合、歯はうまく力を逃がしますが、インプラントは真っ向から受けてしまします。ですから、定期的なメインテナンスの時に、インプラントだけに力が加わっていないか、歯ぎしり食いしばりが強くないか、などを経年的に見ていく必要があります。
今回は、噛む力に焦点を当てて、お話ししました。次回は、見た目の話でも致しましょう。